日本ゴア社CTAG不完全展開事象についての追加確認のご報告

日本血管外科学会
会員各位

医療安全委員会
委員長 椎谷紀彦 

日本ゴア社CTAG胸部大動脈ステントグラフトシステムの不完全展開事象の発生、ならびに事象発生時の対処法に関しましては、既にメーカー担当者より、ならびに日本ステントグラフト実施基準管理委員会websiteにて周知されており、ご承知の事と存じます。

日本血管外科学会では、2017年11月に上記websiteに公開された安全情報以降の社内調査結果について、日本ゴア社に追加確認いたしましたので、その結果を周知いたします。

会員の先生方におかれましては、本内容を御確認の上、万一の事象発生時における対処法について、上記website上、あるいは添付文書に追加される注意事項を御熟読いただきますようお願い致します。

【事象概要】
・2016 年12 月以降2017年5月3日(ゴア社において確認された製造工程の問題点に対する対処が終了した日時)まで全世界において4 件(当該期間出荷数の0.03%、うち国内1件)、ゴアCTAG の不完全/部分展開事象(ステントグラフトの半分のみ展開され、残り半分がカテーテル上に拘束された状態になる不具合)が発生した。
・4 件中1 件は、既報の如く製造過程における「展開ラインの不適切な縫合」に起因するものであった。ゴア社米国製造元では、2017年5月3日までに再発防止対策として、製造作業者への再教育、作業環境改善、製造・検査工程の改善等の対処を終了しており、2017年7月以降、同様の事象の再発はない。
・他の1件は、返却された展開ライン破断面の解析により、鋭利な機材で切断された痕跡が確認されたが、製造工程における要因は特定されなかった。術中操作や外科的手技、患者解剖に起因した展開ライン損傷である可能性も否定できない。本件は他の3件とは異なり、デバイス展開時に抵抗が認められていない。
・残る2件は、デバイスが返却されず、詳細調査を実施できなかった。
・当該4件で使用されたデバイスロットの製造記録調査では、製造日、製造担当者、製造ロットに相関性は確認されなかった。又、国内に出荷された当該製造ロットの製品は全て使用済みで、同一製造ロット内で不完全展開事象の発生はなく、国内に現在流通している製品もない。
・本製品は、PMDA及び東京都福祉保健局健康安全部と相談の上で、回収を行わないことが決定されている。又、米国及びゴアCTAGを販売するその他51ヶ国全ての各規制当局への報告・相談を完了し、回収が実施された国はない。いずれも本邦同様、医師レターを配布の上、随時添付文書の改訂が進められている。