用語規定
日本血管外科学会雑誌 用語規定
2016年2月26日改訂
- CTO
- Chronic total occlusionの頭文字であり,冠動脈疾患領域で頻用されている.閉塞から時間が経過すると治療成績に影響が出ることから使用されているものと考えられるが,partial occlusionはstenosis(狭窄)であるので本雑誌では「CTO」「完全閉塞」は認めない.「閉塞」「狭窄」を使用されたい.
- debranching TEVAR
hybrid TEVAR - 弓部分枝を外科的に置換してからステントグラフト内挿を行う術式は,我が国では一般に"debranching TEVAR"と呼ばれているが,この術式を"hybrid TEVAR"と称することは欧米の文献にも例が少なからず見られるので,用語の使用法が更に蓄積するまでは"hybrid TEVAR"も容認する.
- EVAR
- Endovascular aneurysm repairが最も使用例が多いので,これを推奨する.ただし,endovascular aortic aneurysm repair, endovascular aortic repair, endovascular abdominal aneurysm repairも間違いではない。
- straight graft の日本語訳
- 「直(型)グラフト(または人工血管)」あるいは「直管」を推奨する.「Iグラフト」は推奨しない.
- stent-graft
stent graft - "stentgraft" は不可.分かち書きを可とする。(ハイフンの有無はどちらも可)
- 「下腿動脈バイパス」の定義
- 本誌では,脛骨腓骨動脈幹以下へのバイパスを下腿動脈バイパスと呼ぶ.この点は脛骨腓骨動脈幹へのバイパスを下腿バイパスに含めない保険請求上の分類とは異なる.
- 腫瘍栓
腫瘍塞栓 - 腫瘍栓:腫瘍が血管に浸潤して,場合により内腔に顔を出す「現象」を血管浸潤,あるいは血管内進展,血管内に現れた「腫瘍そのもの」を腫瘍栓と呼ぶ.
腫瘍塞栓:腫瘍栓がちぎれて末梢に移動し血管を閉塞したもののこと.
※参考(日本医学会用語辞典)
tumor thrombus = 腫瘍血栓, 腫瘍栓
tumor embolism = 腫瘍塞栓症 - 大腿深動脈
- 「深大腿動脈」は不可.
- 腹部大動脈瘤
腹大動脈瘤 - いずれも可.
- 「傍腎(動脈)腹部大動脈瘤」の定義
- 英語で"pararenal aneurysm"あるいは"juxtarenal aneurysm"の日本語訳と考えられる.腹部大動脈瘤で頸部と腎動脈開口部との間に正常径の大動脈が存在しないものを呼ぶ.