日本血管外科学会
会員各位
NCDデータを利用した複数領域にまたがる新規研究課題の公募について
1.はじめに
臨床現場の医療情報を体系的に把握し,医療の質の向上に資する分析を行い,もって一般市民に最善の医療を提供し,適正な医療水準を維持することを目的として,2010年に「一般社団法人National Clinical Database (NCD)」が設立されました.NCDのデータベース事業は2011年1月から登録が開始され,毎年100万例を超える,膨大な診療データが蓄積されています.
この巨大なNCDデータベースには、外科系基本領域である消化器外科,呼吸器外科,乳癌、内分泌外科、甲状腺外科(2018年10月内分泌外科学会と合併),心臓血管外科,血管外科,小児外科をはじめ,2014年度から日本脳神経外科学会が,2015年度から日本病理学会が,2016年度から日本泌尿器科学会,日本形成外科学会が,2018年度から日本内視鏡外科学会が加盟しております.NCDデータベースでは,共通のプラットフォームで複数領域のデータを蓄積することで,領域間の比較やデータの集約が可能であります.
このたび,NCD社員学会より複数領域(異なるデータベースの複数の領域)にまたがる研究課題の提案を募ることとなりました.複数領域で横断的な課題を検討することで,広く国民に還元できる研究成果が期待できると考えております.
2.公募する研究種目
今回,公募する研究種目は次のとおりです.
(1)過去のデータを利用した研究(後向き研究)
すでにNCDに登録されているデータを利用して行う研究です.本年度募集する研究課題では,2011年から2023年までのデータが対象となります.
(2)データ追加型研究(前向き研究)
現在のNCD登録項目に新規項目を追加して,新たなデータを収集して研究を行うことができます.新規追加項目へデータを入力するのは,あらかじめ登録された施設(診療科)に限定されます.本研究種目では,NCDシステムに追加項目を実装する必要があるため,研究開始(新規追加項目への登録開始)は2025年1月1日となる見込みです.
3.対象となるNCDデータ
NCDに登録された全てのデータを対象とします.ただし,データは,申請・採択された項目をNCDでリスク調整した形で提供されます.
4.応募資格
対象となるのは,外科系のNCD社員学会(日本外科学会,日本消化器外科学会,日本小児外科学会,日本胸部外科学会,日本心臓血管外科学会,日本血管外科学会,日本呼吸器外科学会,日本内分泌外科学会,日本乳癌学会,日本内視鏡外科学会)であり,以下の(1)~(3)を満たしていることが必要です.
また,ひとつの学会から応募できる課題数に制限はありません.ただし,複数ある場合は,その学会の責任において優先順位をつけてください.
なお,申請された研究について単独学会で充分に研究できると判断されれば,申請学会へその旨を回答して差し戻すことになります.
他の領域のデータ項目は,NCDホームページ内に掲載しているCRF(Case Report Form)にて確認可能であるため,計画する際にまず他の領域のCRFを見てから検討していただくようご留意ください.
(1)当該学会の公式機関において計画された複数の領域(異なるデータベースの複数の領域)にまたがる研究課題であること.
(2)1名の研究代表者と1~複数名の研究分担者が指定されていること.
(3)当該学会の代表者の承諾を受けていること.
【各領域CRF(Case Report Form)掲載箇所】
1)症例登録ポータル画面内(右側)に設置されているメニューボタンの「CRF,マニュアル」をクリックする.
2)「CRF,マニュアル」ページ中段の専門医制度別入力項目一覧にて,各領域の年度別のCRFが掲載されています.
5.応募方法
以下の「複数領域新規研究課題申請書」及び「代表者の承諾書」に必要事項を記入し,応募期間内に以下提出先まで郵送にてご提出ください。
提出書類 | 提出数 |
・「複数領域新規研究課題申請書」 ・「代表者の承諾書」 |
1通 1通 |
【提出先】
〒112-0004
東京都文京区後楽2-3-27 テラル後楽ビル1階
日本血管外科学会 事務局 宛
6.応募期間
2023年9月15日(金)~2024年10月10日(金)17時必着
※事務局にはメールボックスがございませんので、直接の持ち込みはご遠慮ください。
前向き研究は資金確保の目途をつけて随時申請となりますが,後ろ向き研究は応募期間を過ぎて提出された申請書は,いかなる理由であっても受領できませんので,あらかじめ余裕を持って提出してください.
7.研究課題の選定
(1)審査方法
日本血管外科学会にて審査のうえ承認後, 日本外科学会へ提出します.選定された研究課題は,NCDと協議を経て,採択の可否が決定されます.なお,選考の経過については通知しません.また,お問い合わせにも応じられません.
研究課題の選定に係る評価は,提出された申請書に基づいて行いますが,必要に応じて追加資料の提出を求める場合や,申請内容に関してヒアリング等を行うことがあります.
(2)審査結果の通知
採択・不採択の結果は,2025年1月下旬頃,申請学会より通知します.選考理由については公表いたしません.
(3)スケジュール
1. 2023年9月15日(金)~2024年10月10日(金)17時の応募期間内において課題受付
2. 日本血管外科学会内にて審査のうえ、承認となった申請課題は11月8日までに血管外科学会から外科学会へ提出
3. 12月中旬~1月中旬にNCDのデータベースの所轄学会でのデータ利用の審査
4. 1月下旬頃に外科学会から申請学会へ審査結果通知
8.研究経費
本研究にかかる経費は全て申請者の負担となります.データ追加型研究の場合は,項目実装に関してシステム構築をNCDに業務委託(有料)する必要があります.また,データ解析も有料となります.申請者が負担できない場合は,学会が負担するなど対応をお願いすることになりますのでこれらの研究経費の確保にもご留意ください.なお,関連学会間で協議することになります.
解析費用は【1課題あたり150万円から300万円前後】が目安となりますが,研究の内容によって変動し高額となる可能性があります.NCDと相談のうえ,事前にご確認ください.
また,データ追加型研究におけるシステム構築費用は,追加する項目の仕様によって変動します.下記をご参考にして頂ければ幸いです.
なお,上記の費用は学術団体向けの特別な金額のため,一般企業との研究では数倍の費用が見込まれております.
参考: 特定の術式を選択した際に10項目程度を追加する場合 【50万円から60万円前後】.
9.応募に当たっての注意事項
応募に関して
(1)研究課題は,申請学会にて事前に審査いたします.倫理審査状況も併せて,十分確認のうえで,ご応募願います.
(2)提出された申請書をもとに,NCD臨床研究委員会からNCDのデータベースの所轄に確認するため,NCDのデータベースを所轄する学会から事前にデータ利用の承認を得る必要はありません.
(3)提出された申請書を受領した時点で,研究代表者へメールにて受領のお知らせをお送りいたします.提出後,受領のお知らせメールを確認できない場合は,日本血管外科学会事務局までお問い合わせください.
(4)応募された申請書は返却いたしません.
(5)採用された場合,研究代表者の所属施設の倫理委員会の承諾を受けること(承認書類(写)を事務局宛にお送りください(メール添付可)).
(6)研究成果の発表,論文化,特許申請など,研究成果の取扱いについては,NCDのデータベースの所轄学会,NCD運営委員会と別途協議を行います.
(7)研究を論文化する際のAuthorshipの構成,著者順などについては,NCDのデータベースの所轄学会,NCD運営委員会との協議を行う必要があり,原則,NCDとの研究のキックオフ会議時にAuthorshipに関する協議を行えるように準備をお願いいたします.
Authorshipに関する基本方針は,【5ページ】をご参考ください.
※研究デザイン・方法については,仮説を元にキックオフ会議で詳細を相談させていただきます.
※Authorship の記載は, キックオフ会議への参加が原則となります.
※データは,論文化を想定した最終的な結果の形での提供となります.
※キックオフ会議をうけて,複数領域ではなく,単独学会のデータのみを利用することになった場合は,その単独学会からNCDに申請いただくことになるため,不採択になります.その場合は,単独学会からNCDに申請ください.
(8)申請書に関しまして,より研究解析向上のために「研究仮説」「倫理審査状況」の入力欄を新たに設けさせていただいています.
採択後に関して
(1)申請内容を変更する場合は,変更申請書を提出してください.原則,変更申請書受領後に,再度,審査いたします.変更の際は下記,日本血管外科学会事務局までお問い合わせください.
(2) 解析の参考資料として先行論文と参考論文の提出をしてください.
(3) 研究代表者の所属機関にて倫理審査の準備,対応を進めてください.
10.本件に関するお問い合わせ先:日本血管外科学会事務局
お問い合わせ:→こちらからお問い合わせください
■参考:NCDから提示されているAuthorshipに関する基本方針
1.著者として、個人が所属する病院などの組織ではなく、データベースの利用に責任を持つ学会を所属元とする必要がある.
2.著者の規定には ICMJE(international committee of medical journal editors)の定める規定に準拠し、名誉的な関わりでの記載は認められず、記載された著者は全てその内容に責任を有する。
3.著者構成は、論文執筆担当者,研究の構想またはデザイン,あるいは研究データの取得,解析に関わった者を上位とすることをNCDは推奨する.研究開始時に関係者協議のもと,著者ならびにその順を決めておくことが望ましい.