足から心臓へと血液を戻す血管(静脈)に血の塊(血栓)ができて詰まってしまう病気です。
ふくらはぎや足の表面にある静脈に血の塊ができても大きな問題とはなりにくいのですが、下腹部や太もも、膝の中心を走る深部静脈に血の塊ができた場合、重症となってしまいます。血の塊が足の静脈から心臓や肺に向かって流され、肺の血管に詰まった場合、肺塞栓症を引き起こします。
片方の足全体やふくらはぎが急に赤黒く腫れあがり、痛みがあらわれます(写真)。数日をかけてゆっくりと進行することもあります。放置した場合、腫れがつづいて皮膚が茶色く変色したり、崩れて潰瘍となります。肺塞栓症になると、呼吸が苦しくなり、胸が痛くなって、最悪の場合は生命を落としてしまいます。最近に手術を受けた方、ガンにかかっている方、これまでにも深部静脈血栓症を起こしたことのある方、寝たきりの方、避妊薬などホルモン剤を飲んでいる方などは、深部静脈血栓症になりやすいことが知られていますが、はっきりした原因が分からないことも少なくありません。
足の腫れがひどく、深部静脈血栓症の疑いの強い方に対して、超音波(エコー)検査や、身体の中までみるためにCT検査が行われます。いずれの検査もほとんど痛みを伴いません。呼吸が苦しいなど肺塞栓症の疑いがある場合も、同時にCT検査で診断を行います。
抗凝固剤という血液をサラサラにする薬が用いられます。最初は注射剤として投与され、その後は経口薬のワーファリンに切り替えられることが多いと思います。後遺症を残さないために、足を圧迫する弾性ストッキングの着用が効果的です。早期の適切な治療が、肺塞栓症や後遺症の予防につながります。
このページは健康に関する一般的な情報の提供を目的としています。疾病の治療については必ず医師の診断を受けて、その指示に従ってください。