新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における静脈血栓塞栓症予防の指針Ver.2.0

拝啓
日本血管外科学会の先生方におかれましては、再び増加している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して、3つの日本静脈学会・肺塞栓研究会合同緊急アンケート調査研究にご参加いただき誠にありがとうございました。お陰様で2本の英文論文、1本の投稿中論文を作成でき、日本人のエビデンスを創出することが出来ております。これらの新しいデータから、日本人の静脈血栓塞栓症発症頻度は低いものの、全例がCOVID-19重症例に発症していることが判明しました。以上より、出血リスクの高い日本人を考慮し、中等症Ⅱ、重症例に限って選択的に保険適用のある低用量未分画ヘパリンを推奨する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における静脈血栓塞栓症予防の指針Ver.1.0」を発表いたしました。エビデンスの少ない分野ですので、頻回なアップデートが必要とのご意見を理事の先生方からいただき、今回Ver2.0を作成いたしました。主な変更点は下記となります。
#1:高用量の治療用量抗凝固療法の有用性のエビデンスがなく、各ガイドラインも高用量の使用を推奨してないため、Ver2.0では治療用量抗凝固療法の記載を削除し、主要ガイドラインを文献に追加しました。
#2:抗凝固療法使用下での弾性ストッキング・間欠的空気圧迫法の有用性には否定的な知見があり、理学療法を使用するための医療関係者の感染リスク上昇の危惧があるため、抗凝固療法使用下の理学療法は必須としないこととした。

○新型コロナウイルス感染症(Covid-19)における静脈血栓塞栓症予防の指針 Ver.2.0

何卒、ご所属施設の関連部署への周知のほどよろしく御願いいたします。

敬具

2021年4月5日
日本血管外科学会理事長 古森公浩
日本静脈学会理事長 岩井武尚
肺塞栓症研究会代表世話人 小林 隆夫
日本脈管学会 理事長 東 信良

ご意見、お問い合わせ先
日本での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とVTEの実態調査タスクフォース
(日本静脈学会ガイドライン委員会小員会)

横浜南共済病院 孟 真
桑名市総合医療センター 山田 典一
京都大学 山下 侑吾

過去の詳細情報は以下でご覧になれます。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報 - 日本静脈学会 (js-phlebology.jp)
https://js-phlebology.jp/?cat=35