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この度,第35回日本血管外科学会総会を平成19年5月に名古屋で開催させて頂くことになりました.主催させて頂きます藤田保健衛生大学心臓血管外科教室にとりまして誠に光栄であり,これまでにご指導とご鞭撻を賜りました先輩諸兄・会員の皆様方に心から厚くお礼を申し上げます.
名古屋には日循総会も開催可能な国際会議場がありますが,本総会には広すぎることとホテルが併設されていませんので,ゆっくり寛いで頂ける市内のホテルで3日間行うこととなりました.目の前に名古屋城がありますので,外国の来賓の方々にも楽しんでもらえると思っています.
総会のテーマは「低侵襲とQOLの向上を目指して」といたしました.近年高齢化社会となり,血管疾患が非常に増加しています.その上最近いろいろと話題の生活習慣病からくる様々な合併症を持った患者さんが多くなっています.私たち血管外科医はこれらの患者さんに対して種々の外科治療を行うわけですから,今回テーマとしたより低侵襲で,術後の良好なQOLが得られる治療法をしてあげることが重要です.手術をして歩いて退院させることは大切なことですが,それだけではなく如何に質の高い社会生活に復帰できるかを考えて,血管疾患の診療を行う方法をみんなで討論したいと思います.
総会の内容ですが,特別講演として一つに医療安全講習会を行います.今回は「医療安全についての提言」として東京電力の河野龍太郎先生にお話をして頂きます.二つ目に米国血管外科学会会長のK. Craig Kent先生と,ドイツのSvante Horsch先生に「米国とドイツにおける血管外科の診療と教育の現状」について講演をお願いしました.外国から招請した先生はこの2人と,Stephen Westaby(U.K.), Jean Bachet(France), H.-J. Schäfers(Germany), Roy K. Greenberg(U.S.A.), Paul Urbanski(Germany)の合計7人の外科医であり,招請講演や共催セミナーでそれぞれご自分の得意な外科的内容で講演をして頂く予定です.総会前日に「腹部外科としての血管外科部分を考える」というテーマの血管外科学会教育セミナーがありますが,教育講演として7名の先生にお願いして基本的なテーマでお話して頂きます.共催セミナーとしてモーニングセミナー(Meet the expert)4,イブニングセミナー4,ランチョンセミナー12を組みましたが,今後の血管外科で重要な分野になると思われる血管内治療(Stent graftingと下肢IVR)の話題を多く選びました.
積極的に参加を呼びかけたおかげで,全体として650題を超える演題の応募を頂きました.これは最近血管疾患が増加していることに加え,本学会が心臓血管外科専門医の指定学会となっているためと考えられます.シンポジウムは採択36/応募56,ビデオシンポジウムは33/54,パネルディスカッションは39/55,要望演題は157/416でした.今回のシンポやパネルのテーマは,胸部大動脈瘤関係の内容を多めに選択しました.この選択から漏れた方々は一般演題やポスターセッションなどに分かれて,できるだけ発表してもらうようにいたしました.そのため日本からは合計614題の演題数となりましたので,発表が少しタイトとなりました.少し欲張った内容となってしまった感がありますが,胸部外科学会や心臓血管外科学会ではこれほど血管外科分野に限ったテーマを選択できません.ですから各人の興味あるお話を選択してお聞きになって,次週からの診療の糧として頂けたら幸いです.
2日目には恒例となりましたインターナショナルセッションを行います.米国4人,欧州3人,アジア11人の若手の血管外科医に,日本3人を加えた21名の方々から口演をして頂きます.そして本年は第5回日韓合同血管外科学会を,広島大学の末田泰二郎教授が会長で5月25日(第2日目)に開催いたします.口演が19人,ポスターの発表が67人の予定です.そのほか同時開催の講演会や研究会として,前日に生活習慣病から生じる血管疾患をテーマにした市民公開講座,総会翌日の26日には血管無侵襲診断法セミナー,血管内手術教育セミナー,弾性ストッキングコンダクター講習会を行います.
最近の名古屋はトヨタ自動車のおかげで景気が良く,駅前には中部一の高層ビルが完成しました.5月の名古屋は梅雨前でまだ暑くなく,過ごしやすい季節かと思います.普段お忙しいなか,名古屋に来て頂き癒しの一時をとるのも良いことかと存じます.本年5月名古屋で皆様にお会いできることを楽しみにいたしております.
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